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林 博史 「暴力と差別としての米軍基地」 沖縄と植民地――基地形成史の共通性

「暴力と差別としての米軍基地」 沖縄と植民地――基地形成史の共通性
著 者 林 博史 (はやし ひろふみ)
発行所 かもがわ出版


 米国の安全保障と北朝鮮の体制保証をかけた、それぞれの国の為政者による世紀の政治ショーが終わりました。6月13日の新聞紙上には識者によるさまざまな見解が載せられましたが、今回のショーの本質と日本の為政者の今後の動向に注目しなければなりません。

 毎日新聞(2018年6月13日朝刊)に1月4日以降の日本の為政者、安倍晋三首相の北朝鮮に対する発言がまとめられています。直近のものを抜粋すると、

5月14日 衆院予算委
拉致問題は最終的に日朝で話し合わなければ完全解決できず、あらゆるルートを通じて日本の考え方は北朝鮮に伝えている

6月7日 日米首脳会談後の共同記者会見
拉致問題の早期解決のため、北朝鮮と直接向き合い、話し合いたい。最終的には私と金正恩朝鮮労働党委員長の間で解決しなければならない

 トランプ大統領の主眼は米国の安全保障を確立することであって、拉致問題は二の次であることを忘れてはいけません。今後は日本の為政者の動向に今まで以上に注視することが肝要です。

 本書によると、2012年9月30日現在、海外にある米軍基地は39か国・地域598か所にのぼるという。さらに海外領土であるグアムやプエルトリコなどに97か所、米本国には4364か所があるので、合計5059か所になる。

 国防総省の別のデータによると、2011年9月30日現在、米兵が駐留している国・地域は148か国、20万5118名となっている。

 冷戦構造の解体後も依然として世界に基地ネットワークを展開し続けている米軍の様相を数字で知ることができる。

 それら世界各地に設けられた米軍基地は如何にして作られたのか。沖縄の米軍基地問題について見ていくうえでも、本書は有益な示唆を与えてくれる。

目 次

はじめに

第Ⅰ部 米軍基地建設の植民地主義・人種主義――世界の事例から
1 植民地を利用した基地建設
2 基地に翻弄された自治領の住民たち――プエルトリコ
3 米国領土外にある最も古い基地――グアンタナモ
4 核とミサイルのために犠牲にされた島民たち――マーシャル諸島
5 強制排除された先住民――グリーンランド
6 無人島にさせられた島々――ディエゴガルシア
7 二一世紀の強制収用――韓国ピョンテク
8 刑事裁判権に見る植民地主義・人種主義

第Ⅱ部 沖縄での基地建設――沖縄戦から恒久基地化へ
1 米軍の世界的戦争計画の中の沖縄
2 沖縄戦下の基地建設
3 終戦前後の基地建設計画
4 海軍の沖縄基地計画
5 一九四〇年代末から五〇年代へ
6 核兵器と沖縄
補論 国防とアイヌ

第Ⅲ部 沖縄における米兵による性犯罪
1 日本軍による沖縄女性への性犯罪
2 免罪された米兵による性犯罪
3 米軍占領下の性犯罪と米軍の認識―― 一九四〇年代後半
4 継続する米兵の性犯罪―― 一九五〇年代

終章

あとがき

【参考文献】

 著者が本書によって明らかにしようとした事柄、著者の意図が「はじめに」の箇所で述べられています。

 本書は米軍基地の建設・展開を歴史的に振り返りながらその問題を浮き彫りにしようとする試みである。数十年前の出来事から最近のものまでいろいろな事例を取り上げている。昔のことだから、今とは関係ないと言うことはできない。そのことを反省しない者はまた同じようなことを――形を変えたとしても――繰り返していくからだ。多くの国々への武力介入と侵略を繰り返してきて、それへの反省のない米国と、戦争責任・植民地支配への反省のない日本との同盟が日米同盟である。もし自らが過去におかした加害とおぞましい行為の数々の事実を直視し、二度と繰り返さないと決意して行動しようとするならば、今日のような日米軍事同盟はたちまちのうちに崩れ去るだろう。軍事力に頼らない、人を踏みつけることによって自らの安全を保とうとするような利己的で非人間的な手段には頼らない、平和的な共存と競泳の未来を目指す営みの一つが本書である。(13ページ)

 「終章」では、ソマリア沖の海賊行為から通航する船舶を護衛するという名目で、日本政府が東アフリカのジブチに設置した「活動拠点」について述べられます。

 日本政府は「活動拠点」という言い方をしているが、正真正銘の基地である。日本が戦後初めて海外に基地を建設したことを意味している。また交換公文の第八項により、派遣される自衛隊員たちについての刑事裁判権は日本が有することが規定されて、つまり受入国には刑事裁判権がないということである。日米地位協定やNATO地位協定では、公務中と公務外に分けて、刑事裁判権を派遣国と受入国がそれぞれ有することになっているが、派遣国が全面的に刑事裁判権を持つという植民地主義そのものの規定を日本が得たことになる。刑事裁判権の問題で米兵の犯罪を日本が裁くことができないという大きな問題を抱えていた日本が、今度は他国にその矛盾を押し付ける立場になったのである。(162ページ)

2014年10月25日 第1刷発行

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[ 2018/06/14 16:00 ] 政治・経済・現代社会の本 林博史 | TB(-) | CM(0)
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散歩すると猫に会う。
いつもの場所にいつもの猫がいるのだが、人間とは付かず離れずの関係を保ちつつ生きているように思われる。

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