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「殺人者の顔」 ヘニング・マンケル

見たり、読んだり、思ったり。

「殺人者の顔」 ヘニング・マンケル

「殺人者の顔」
著 者 ヘニング・マンケル
訳 者 柳沢由実子
発行所 創元推理文庫


 スウェーデンの警察小説・刑事クルト・ヴァランダー・シリーズの第一作。出版年は1991年。携帯電話のまだ登場しない自動車電話の時代の物語とはいうものの、現在でもストーリー展開を十分に楽しむことができる。

 スウェーデン南部スコーネ地方。異変発生の電話が入ったのは1990年1月8日の明け方五時十三分。駆けつけた刑事が見たのは並はずれて凄惨な光景だった。

 老夫婦の寝室は血の海。上半身裸でズボンがずり落ちた老人の顔は見分けがつかないほどつぶされ、鼻をそぎ落したような痕跡が見え、両手は背中で縛りあげられ、左腿の骨は砕かれていた。ロープで首を締めあげられていた老女はかすかに息をしていた。

 虫の息だった老女が息を引き取る前に言い残したことばは『外国の』という形容詞だった。物語は1990年代初頭のスウェーデンでとくに強くなった外国人に対する反感をバックボーンとして展開する。

 ヴァランダーと相棒のリードベリは、外国人に対して人種差別的な反感を持つ一部の人々を刺激することを恐れて、外国人容疑者の線を伏せるが、この配慮は何者かによって裏切られ、犯人は外国人という噂がマスコミに流れる。

 家庭をかえりみなかった刑事クルト・ヴァランダーの家庭生活はすでに崩壊していた。妻のモナとは離婚手続き真只中、娘のリンダとは疎遠、一人暮らしの父親には認知症の気配、と家庭生活の崩壊したクルト・ヴァランダーが主人公の警察小説。

 車から出て、草むらで用を足すクルト・ヴァランダー。

 スウェーデンの名作『笑う警官』を意識させるかのように、「クルト・ヴァランダーは笑う警官からはほど遠い気分だった」とう表現。

 酔っぱらい運転をして部下に捕まってしまうなど、ヒーローと呼ぶには語弊があるものの人間的に憎めないながらも存在感を発揮する主人公。(だからこそ主人公となりうるのだが)

 犯人逮捕へと着実に歩みを進めながらも、行き詰まってしまう捜査。大団円へと物語が一気に動き始めるのは総ページ数423ページ中の385ページ。

 以降、畳みかけるような展開。

訳者あとがき

2001年1月26日 初版

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きどのひつじ

Author:きどのひつじ
散歩すると猫に会う。
いつもの場所にいつもの猫がいるのだが、人間とは付かず離れずの関係を保ちつつ生きているように思われる。

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