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宮城谷昌光 「他者が他者であること」

見たり、読んだり、思ったり。

宮城谷昌光 「他者が他者であること」

「他者が他者であること」
著 者 宮城谷昌光 (みやぎたに まさみつ)
発行所 文藝春秋


 その時々に発表された文章をまとめた随筆集。

「Ⅰ 湖北だより」

 関西に住む者にとって湖といえば琵琶湖だが、ここでは著者が住むことになった浜名湖北岸をさす。住居を浜名湖北岸に移したのが1996年2月4日、立春。文章中に立春という言葉は記されていないが、故事来歴に造詣の深い著者であるからには、春の到来、並々ならぬ決意で、移転の日をこの日と定めたのかもしれない。

 2月2日、3日と大雪。東名高速道路が通行止めになったのだが、4日はさいわいにも雪はやんだという。湖北の風が強いのは承知していたものの、「これほど強烈とは」と思ったという。

 中日新聞に発表された7篇が載せられる。

「Ⅱ 中国古代の構図」

 宮城谷昌光といえば、中国の春秋・戦国時代から秦漢時代にかけて活躍した歴史群像を活写している作家。その時々の作品を仕上げる過程での裏話、執筆の意図などが記される。なぜ、その人物を描こうと思ったのかなど、作品を読むうえでの示唆を得ることができる。また、その作品について既読であれば、読んだ内容を深めるきっかけを得ることができる。

 呂不韋を主人公に据えた『奇貨居くべし』、士会を主人公に据えた『沙中の回廊』など中国の古代史に現れた傑人に対する著者の並々ならぬ畏敬の念を実感することができる。

「Ⅲ カメラ」

 「あなたの本業は、写真か、小説か」と問われるほどに取り組んだ写真についての随筆集。『日本カメラ』1992年1月号から1992年12月号にかけて毎月発表された文章がまとめられました。まさに小説家にならなければ写真家になったであろう宮城谷昌光の写真技術向上のためのあれやこれやが載せられています。

 印象的な個所をあげるとすれば、

「プロとアマチュアでは、何がちがいますか」
と、訊かれることがある。私は即答できる。
「光がちがう。プロの光はみがきぬかれているが、アマチュアはそうではない」
このちがいは決定的である。(143ページ)

「写真をやって、何を得ましたか」
とも訊かれる。これも答えは速い。
「光を得た」
 つまりことばにも光の方向と量とがある。できた作品にも明度がある。これは写真とおなじかもしれない。(144ページ)

「Ⅳ 他者が他者であること」

 その時々に書かれた随筆がまとめられました。

 印象に残った言葉だけをあげてみると、

 文章を書くためのすべての努力は、半分は文学以外のことを知らねばならぬということであった。(206ページ)

 元号とはふしぎなもので、時間に個性をあたえる。自分が1945年生まれであると書くより、昭和20年生まれであると書いたほうが、ことばの生気は、はるかに強い。(208ページ)

2009年2月15日 第1刷

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[ 2018/05/03 08:00 ] 国内の作家の本 宮城谷昌光 | TB(-) | CM(0)
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きどのひつじ

Author:きどのひつじ
散歩すると猫に会う。
いつもの場所にいつもの猫がいるのだが、人間とは付かず離れずの関係を保ちつつ生きているように思われる。

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