ダヴィド・ラーゲルクランツ 「ミレニアム5 復讐の炎を吐くう女」上・下

「ミレニアム5 復讐の炎を吐く女」上・下
著 者 ダヴィド・ラーゲルクランツ
訳 者 ヘレンハルメ美穂・久山葉子
発行所 早川書房


 ダヴィド・ラーゲルクランツによる前作『ミレニアム4』は『ミレニアム3』までの著者スティーグ・ラーソンからダヴィド・ラーゲルクランツへの橋渡し役をつとめる作品という印象が強く、前著者への遠慮のようなものを感じてしまいましたが、本作『ミレニアム5』ではダヴィド・ラーゲルクランツの独自性が遺憾なく発揮されたようです。

 ベストセラー『ミレニアム』の後を引き継ぐとなれば、どうしても前作までの幻影に引きずられてしまうものですが、上巻巻末のヘレンハルメ美穂による「訳者あとがき」によって、その間の事情を知ることができます。

 第五部となる本書では、一ページ目からリスベット・サランデルが登場する。ラーゲルクランツはスウェーデン公営テレビのインタビューで、第四部をそのように始める勇気はなかった、と語った。「リスベットのことが怖くてしかたがなかった。彼女はもはや偶像視されている存在だ。前作を書いたときの自分は〝失敗したらどうしよう〟とばかり考えていた。が、今回は最初から彼女を登場させる勇気が出た」(297ページ)

 第四部を経ることによってようやく現れたラーゲルクランツらしさ。彼が書くのは第六部までと複数のメディアで公言しているとか。2019年に刊行予定の第六部を心待ちにしたい。

 為政者の意向に追従するポチが跋扈する現今、下巻巻末の霜月蒼による解説「OPENING THE CLOSED DOOR」はジャーナリズムを担う者たちに対する印象的な提言で締めくくられます。

 現実世界において法に罰せられない非道を剔抉(てつけつ)するのは何者か。それは権力を監視するジャーナリズムの役割である。(298ページ)

2017年12月25日 初版発行



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散歩すると猫に会う。
いつもの場所にいつもの猫がいるのだが、人間とは付かず離れずの関係を保ちつつ生きているように思われる。

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