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宮城谷昌光 「青雲はるかに」 上・下

見たり、読んだり、思ったり。

宮城谷昌光 「青雲はるかに」 上・下

「青雲はるかに」 上・下
著 者 宮城谷昌光(みやぎたに まさみつ)
発行所 新潮文庫


 先日読んだ「奇貨居くべし」の主人公・呂不韋と同時代を題材とした物語。本書の主人公は秦の昭襄王の宰相となる范雎(はんしょ)。昭襄王は始皇帝の曽祖父。呂不韋は始皇帝の父・荘襄王の宰相。本書で呂不韋の名前は出てこないけれども、両書に共通するキーパーソンとして登場するのが、南芷(なんし)・華陽夫人。

 「奇貨居くべし」ではさりげなく登場した南芷・華陽夫人だが本書では比較的重要な役どころを担う。どちらにしても、范雎をめぐる女性の魅力的なこと、このうえなし。

 歴史上に名を残す人物のひとりである范雎、さぞや順風満帆な生涯と思っていたのだが、壮年に至るまで不遇の日々。それが一転して秦の宰相への道を歩むきっかけとなったのが、仕える主人の嫉妬、死に至る直前の打擲だったとは。

 陰陽五行に関わる箇所がひとつあったので抜き書きしておくと、

「東へゆくよりよい」
 と、鄭安平はいった。五行の思想である。若いころになにかをはじめようとして東へゆくのはよいが、集大成しようとする者は西へむかうべきである。すなわち五行において、東は春であり、西は秋である。秋こそ、収穫のときなのである。(下巻136ページ)

 解説は東海大学文学部教授・湯川豊。
 その解説は冒頭に掲げられた次の文章によって始められる。

『青雲はるかに』はすぐれた恋愛小説である、といいきってしまいたいほど、全編が女性たちの美しさに濃く彩(いろど)られている。しかしこれは恋愛小説であると同時に、范雎という一説客(せつかく)の成長物語であり、復讎譚(ふくしゅうたん)であり、戦国時代の覇権のゆくえを追う政治小説でもある。いうまでもなく、一つの要素で小説全体をはかる必要はない。(下巻492ページ)

2007年4月1日 発行



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[ 2018/03/06 22:00 ] 国内の作家の本 宮城谷昌光 | TB(-) | CM(-)
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Author:きどのひつじ
散歩すると猫に会う。
いつもの場所にいつもの猫がいるのだが、人間とは付かず離れずの関係を保ちつつ生きているように思われる。

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