澤田瞳子 「満つる月の如し 仏師・定朝」

見たり、読んだり、思ったり。

澤田瞳子 「満つる月の如し 仏師・定朝」

「満つる月の如し 仏師・定朝」
著 者 澤田瞳子(さわだとうこ)
発行所 徳間書店


 絶対に動かしようのない歴史的事実。その歴史的事実の空隙、歴史の間合いに題材を求めながら、時代に翻弄される市井の人物を生き生きと描く。その有様が余りにも生々しく、あたかも著者本人が霊媒としてそれぞれの人物の生き様を追体験したかのような記述に興味を覚え、著者の澤田瞳子をwikipediaで検索してみると、

日本の歴史学者、小説家。同志社大学文学部文化史学専攻卒業、同大学院文学研究科博士課程前期修了。専門は奈良仏教史。母は作家の澤田ふじ子。

と記されていた。

 澤田作品の骨格を形づくる歴史学者としての学問的知見。

 著者自身が見てきたかのように表現された歴史的事実を背景としながら紡ぎだされる物語世界。事実とフィクションの絶妙なマッチングの相乗効果によって、登場人物の存在感を否応にも勝しめる。事実は小説よりも奇なり。

 中高生のころ読者が学んだはずの歴史事象が著者の筆力によって分かりやすく再現される。そのことによって、読者にかつて学んだ歴史的事実を思い出させ、澤田瞳子の物語世界に没頭させる。著者の筆力の賜物。歴史学者であり小説家である澤田瞳子の物語世界の魅力。

 サブタイトルが「仏師・定朝」。定朝が重要な役どころを担っているとはいうものの、著者が意図した主役は中務と隆範、著者が生み出した架空の人物。澤田瞳子の作品は面白い。

2012年3月31日 初刷

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[ 2018/01/29 14:00 ] 国内の作家の本 澤田瞳子 | TB(-) | CM(-)
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散歩すると猫に会う。
いつもの場所にいつもの猫がいるのだが、人間とは付かず離れずの関係を保ちつつ生きているように思われる。

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