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折原 一 「双生児」

見たり、読んだり、思ったり。

折原 一 「双生児」

「双生児」
著 者 折原 一 (おりはら いち)
発行所 早川書房

 序盤はゆっくり、終盤は息もつかせぬ速い展開でどんでん返しを繰り返す。最終的にそうだったのか、と読み終えた初めての作家の作品。

 話者は主要な登場人物がその時々によって入れ替わる。『双生児』というタイトルではあるものの、第三の人物、もう一人姿かたちの同じ人物がいるような展開で物語は進む。何分にも初めての作家。三人も同じ姿かたち、これはクローン人間をテーマに据えているのだろかと思ったり、しかし本文中では多重人格という言葉を使っていたりと読者を惑わせてしまう。

 本書裏表紙に載せられている紹介文では、

安奈は、自分にそっくりな女性を町で
見かけた。それが奇怪な出来事の始ま
りだった。後日、探し人のチラシが届
き、そこには安奈と瓜二つの顔が描か
れていた。掲載の電話番号にかけると
つながったのは‥‥‥さつきは養護施設
で育ち、謎の援助者〈足長仮面〉のお
かげで今まで暮らしてきた。突如、施
設に不穏なチラシが届く。そこにはさ
つきと瓜二つの女性の顔が描かれてい
て‥‥‥〈双生児ダーク・サスペンス〉

 序盤はまさに紹介文通りの展開なのだが、着地点は予期せぬ展開。物語の途中であっても第三者の存在を感じさせない記述、(わたし)の存在が明らかにならないような工夫、文章構成が行われていれば、最後まで違和感を抱くことなく読み終えることができたかもしれない。

 主人公は安奈ではなくさつきでもない(わたし)。(わたし)の悲しみと嫉妬が主要なテーマといってよいだろう。

 次は著者の出世作と思われる日本推理作家協会賞受賞作『沈黙の教室 (ハヤカワ文庫JA)』を読まねばなるまい。

2017年10月25日 初版発行

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[ 2018/01/26 11:00 ] 国内の作家の本 折原一 | TB(-) | CM(-)
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きどのひつじ

Author:きどのひつじ
散歩すると猫に会う。
いつもの場所にいつもの猫がいるのだが、人間とは付かず離れずの関係を保ちつつ生きているように思われる。

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