宮崎学・小原真史 「森の探偵」 無人カメラがとらえた日本の自然

「森の探偵」 無人カメラがとらえた日本の自然
著 者 宮崎学・小原真史
発行所 亜紀書房


 愛用の35mmミラーレス一眼。撮影の幅を広げようと70mm~200mmの望遠ズームを購入したのは昨年の3月。偶然読んだ野鳥撮影の本で、画像サイズを35mmからAPS-Cにすると焦点距離が1.5倍になることを知ったのは6月。それ以来、本格的な野鳥撮影には非力ながら、鳥撮りに夢中になっている。

 フィールドの一つが自転車で20分の緑地公園。40年ほど前の植樹開始当初は一面疎らに植え立ての木が生えているだけだったのだが、これほどの森林公園になるとは思いもよらなかった。あの頃はもっぱら、一周3kmの周回路を走るために通っていた。若き日の思い出。その同じ場所で今鳥撮りに夢中になっているなんて、人生一寸先は闇、何がどうなるか分からない。だから面白い。

 野鳥撮影に取り組み始めて初めて気づいたことは、平日でもその筋のマニアが驚くほど多いということだ。サンデー毎日の団塊の世代ことごとく鳥撮りマニアといった印象。そしてまた集団主義の徹底というか、それぞれ自慢の装備、巨砲レンズを三脚に載せて同じ被写体を狙っている。オオタカ組、イカル組、トラツグミ組、水流組など。

 非力装備の私はついていけない。
 協調性のない私はついていけない。

 自ら考案した無人カメラのシステムと古い狩猟型の知を融合させながら野生動物の姿を撮影してきた宮崎学とキュレーターを生業とする小原真史の対話形式のような本。

 宮崎が動物を撮影する際のポイントは、その生き物たちの目線になって周囲を見ること。それが人間であれ他者に対するときは目線を同じ高さに設定するというのは基本中の基本。四つん這いになって目を瞠る宮崎の姿が印象的。これこそ本書の掴みの一つ。

 日本中に張り巡らされた高速道路網。今まさに厳冬期。道路にまかれているのが凍結防止剤。その主成分は塩化ナトリウムや塩化カルシウム。それが高架伝いに下へ流れ落ちると塩の結晶がつくられる。それを舐めるために集まってくるたくさんの鹿や猿。「自然界のサプリメント」。

 斯くして人間は意図せずして野生動物を人間界に引き寄せていていた。野生動物の身にしてみれば生存のための必需品をたやすく手に入れることができる。人間が深く考えもせず結果として野生動物に提供しているあれこれ。野生動物の本能を侮るでない。何とも間抜けな人間たち。ツキノワグマが人間界に出没するのも理の当然。

 今まで思いもしなかったそんなあれこれを知ることができる画期的な内容の本。本書は人間の手によって書かれてはいるが、その視点、立ち位置を徹底して野生動物の側に置いている。

2017年7月6日 第1版第1刷発行

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[ 2018/01/16 19:00 ] 国内の作家の本 宮崎学 | TB(-) | CM(-)
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Author:きどのひつじ
散歩すると猫に会う。
いつもの場所にいつもの猫がいるのだが、人間とは付かず離れずの関係を保ちつつ生きているように思われる。

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