別所真紀子 「つらつら椿 浜藻歌仙帖」

見たり、読んだり、思ったり。

別所真紀子 「つらつら椿 浜藻歌仙帖」

「つらつら椿 浜藻歌仙帖」
著 者 別所真紀子(べっしょ まきこ)
発行所 新人物往来社


 浜藻は実在の人物、江戸時代後期の女流俳人五十嵐浜藻。浜藻が宗匠をつとめる月次会に集う一座連衆の悲喜こもごも、人生の哀歓。老若男女、生業も様ざまなれども、一同会すれば一心同体となって「かりそめの世」の歌仙を巻く。

 俳諧の場がなければ何の変哲もない時代劇。ところが、それぞれの巻の区切りとして催される月次会が絶妙の配置で物語に余韻をもたらす。俳諧の場が小説になるとは思いも寄らなかったけれども、連句誌を主催している著者だからこその作品。

 座そのものは著者の創作だけれども、連句に造詣の深い著者自身が楽しんで描いた様子を「あとがき」から読み取ることができる。その箇所を本書から抜き書きすると、

 一巻の中にあらゆる事物を詠みこもうとする連句は、幅広い豊かな教養と、他者を理解し受け容れる心が要ります。浜藻は十代少女とも小林一茶や夏目成美のような後世に名の遺る俳諧師とも、同等に付合の出来る幅広さ心の深さを持っていたひとでした。
 そんな浜藻を中心とする一座連衆の身の上や心情を書いてみたいと思いました。座そのものが虚構ですが、世の中の仕組みから外れたところで心を寄り添わせて集い合う連衆たちの中に、私自身も混っているような気持ちで、楽しんで書いたことでした。(283ページ)

 Wikipediaに浜藻の発句が載っていました。

市の雛花の恋しき御顔かな
ふくらかに桔梗のような子が欲しや
人の子もわが子もおれよ梅の花
ほととぎす近江の国が啼きよいか
山ざくら見ぬ人のためをしみける
見るほどのすみれ摘みたくなりにけり

2001年6月30日 第1刷発行

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[ 2017/09/14 20:00 ] 国内の作家の本 別所真紀子 | TB(-) | CM(-)
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散歩すると猫に会う。
いつもの場所にいつもの猫がいるのだが、人間とは付かず離れずの関係を保ちつつ生きているように思われる。

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