FC2ブログ

池澤夏樹 「キトラ・ボックス」

見たり、読んだり、思ったり。

池澤夏樹 「キトラ・ボックス」

「キトラ・ボックス」
著 者 池澤夏樹(いけざわ なつき)
発行所 角川書店


 毎日新聞朝刊の連載小説として発表された「アトミック・ボックス」の続編。「アトミック・ボックス」に登場した主な人物たちが本書でも登場して小説の背景を作りあげる。

 誰がキトラ古墳に埋葬されているのか判然としないながらも、被葬者のひとりと推定されているのが阿倍御主人。阿倍御主人について知られているのは672年の壬申の乱で大海人皇子の側に立ったことだけ。『続日本紀』によると、阿倍普勢臣御主人がこのときの功績で100戸の封戸を与えられたという。

 実在の人物ではあるけれども、その事績についてほとんど記録がないということは、その人物を主役としながら信憑性のある物語を自由に作りあげることができる。作者池澤夏樹によって、阿倍御主人は格好の人物として選ばれました。

 当時の時代背景を考慮しながら、阿倍御主人が若い頃遣唐使の一員として中国へ渡り、長安で律令などについて学んだなどという虚構を(真実だったかもしれませんが)よくぞ練りあげたものです。先入観なしでこの箇所を読んだ読者は、「阿倍御主人というのは、凄いヤツだったんだな」と思ってしまうに違いありません。まさに嘘をも真実と思わせてしまう力量。これもまた小説家としての醍醐味なのかもしれません。

 物語は過去と現在を行きつ戻りつしながら展開。ストーリーテラーは時宜に応じて交代。発端は墓築造後20年経った盗掘の現場から。最初のストーリーテラーは盗掘者。

本当にそんなものがあるのか、為元は初めから半信半疑だった。

 印象的な出だしです。

2017年3月25日 初版発行

スポンサーサイト
[ 2017/08/27 16:00 ] 国内の作家の本 池澤夏樹 | TB(-) | CM(-)
スポンサードリンク
スポンサードリンク
スポンサードリンク
Amazon
プロフィール

きどのひつじ

Author:きどのひつじ
散歩すると猫に会う。
いつもの場所にいつもの猫がいるのだが、人間とは付かず離れずの関係を保ちつつ生きているように思われる。

最新コメント
最新トラックバック
FC2カウンター
QRコード
QR
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ