FC2ブログ

金子兜太 「悩むことはない」

見たり、読んだり、思ったり。

金子兜太 「悩むことはない」

「悩むことはない」
著 者 金子兜太(かねこ とうた)
発行所 文春文庫


 1943年9月、東京帝国大学を半年繰り上げ卒業。日本銀行に入行。三日で退職し、海軍に入隊。1944年3月、主計中尉に任官の後、トラック島に赴任。1945年、米軍機に連日空襲を受け、補給絶え、栄養失調状態。八月十五日、敗戦。1946年、トラック諸島春島の米軍航空基地建設に捕虜として従事。11月、復員。1947年2月、日本銀行に復職。(本書「金子兜太略年譜」より)

 本書の構成は、全3章。

第一章 問われて答う
第二章 生い立ち来たるところ
第三章 戦争と俳句 戦地で俳句と決別し、戦地でふたたび俳句に会う

 全ページ191ページの小さな文庫本。そんな文庫本ながら本書の読みどころは、「第三章 戦争と俳句」。著者の戦地での俳句体験が戦場の臨場感と共にコンパクトにまとめられている。

 本書に載せられた肖像写真は二枚。一枚は本書発刊当時(2011年3月8日撮影)のもの。もう一枚は、「海軍主計中尉金子兜太、二十四歳」の写真。二枚とも、いい顔で写っている。このような写真を目にすることができるのは、金子兜太が飢餓地獄の戦場から生還することができたからこそのもの。

 西日本では酷暑日の続く暑い八月。日本人にとって八月は死者に思いをはせる月、誰もが戦争体験に向き合わなければならない月と言えるだろう。それを反映してか、新聞では連日のように戦争体験を掘り起こす記事が掲載された。

 戦後72年経つというのに、まだまだ新しい資料が発掘され続けている。「もう72年」なのだろうか、あるいは「まだ72年」しか経っていないのだろうか。どちらにしても、新しい資料の発掘が続くということは、政府が身を入れて戦争の総括を行なってこなかったことの証拠にはなるだろう。

 戦争の総括を行なっていないから、言い換えると、戦争の実態、戦争の本質を検証しようとしない為政者だから再び戦争をはじめることができる態勢を整えていく。政治は連続性を持つものであり、いったん為政者となったからには、過去の歴史に対して責任を持たなければならないと思うのだが、誰も責任を問われることのない無責任な体制。

 現代日本の為政者は、ことが発覚すれば白を切る。そして今、それがまかり通ってしまう。こんな状態がいつまで続くのだろうか。

2013年10月10日 第1刷

スポンサーサイト
[ 2017/08/26 05:00 ] 俳論・俳文・句集など 金子兜太 | TB(-) | CM(-)
スポンサードリンク
スポンサードリンク
スポンサードリンク
Amazon
プロフィール

きどのひつじ

Author:きどのひつじ
散歩すると猫に会う。
いつもの場所にいつもの猫がいるのだが、人間とは付かず離れずの関係を保ちつつ生きているように思われる。

最新コメント
最新トラックバック
FC2カウンター
QRコード
QR
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ