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「羽羽 正木ゆう子句集」

見たり、読んだり、思ったり。

「羽羽 正木ゆう子句集」

「羽羽(はは) 正木ゆう子句集」
著 者 正木ゆう子
発行所 春秋社


 平成23年(2011年)の福島原発事故の前後、平成21年から27年までの発表句から、およそ半分の約三百句が収められています。そのせいか、東日本大震災や原発事故、被災地詠なども収められています。

 一句だけあげるとすれば、

出アフリカ後たつた六万年目の夏

 約20万年前にアフリカに出現した現生人類がアフリカを出発し、バブ・エル・マンデブ海峡を通ってアラビア半島南部へ渡ったのは、今から6万年前。その後、人類は世界中に散らばり、あまねく安住の地を求め、日本にも人々は定住した。

 福島原発事故で排出された放射能が消えてなくなるには、どれくらいの年月がかかるのだろうか。福島第一原発3号機はMOX燃料を使用したプルサーマル発電方式。プルトニウムの場合、半減期で2万4千年。十分の一になるのに8万年。

 あの福島原発事故の影響が完全に収束するにはどれほどの年月が必要か、考えるだけで気が遠くなってしまう。そう思うと、出アフリカ後の6万年なんて「たつた」6万年。この句で表現されているのは客観的な事実のみ。原発事故につきものであるセシウム、プルトニウム、放射能という言葉を一切使わずに福島原発事故の凄まじさを表現することに成功している。たった十七文字の快挙。

 原発事故の収束などまだまだ手つかずの状態。時の為政者はオリンピックを招致せんがため、「アンダーコントロール」という表現をしたが何というまやかし。世代間倫理をも考慮してこそ真の政治家といえるのだが、その気配すら感じとることができないのが日本の政治事情。

 著者は、本書にて2017年の蛇笏賞を受賞しました。

2016年9月23日 初版第1刷発行

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[ 2017/08/25 20:00 ] 句集・俳論・俳文など 正木ゆう子 | TB(-) | CM(-)
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きどのひつじ

Author:きどのひつじ
散歩すると猫に会う。
いつもの場所にいつもの猫がいるのだが、人間とは付かず離れずの関係を保ちつつ生きているように思われる。

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