柴崎友香 「春の庭」

見たり、読んだり、思ったり。

柴崎友香 「春の庭」

「春の庭」
著 者 柴崎友香(しばさき ともか)
発行所 文春文庫


 読みたいと思ったのは確かなのだが、読み終えた途端、読みたいと思った理由を思い出せず、取り敢えず読めたらいいかという読書遍歴。それがどうなるか分からないけれども、それが本を読むということの本質、早い話が暇つぶしの活字版が読書ということなのだろう。暇つぶしであるからには、読む本の内容が面白いに越したことはない。

 表題作を含めて四作をおさめる本書、どの作品も徹頭徹尾「住居物語」だという思いを抱いてしまった。偶然にも住み始めた、あるいは一時的に住んでいる、住むということ自体が長い人生あるいは短い人生にとって一時的なものなのだが、住むことをモチーフとして書かれたのが本書、というか、もしかして著者の柴崎友香自身が意識せずしてそんな物語を書いてしまうのかもしれない。そして書きたくてたまらないのだと思う。

 住むことについてのこだわり、というか、小説を書き始めるに当ってまず拘ってしまうのが、住居のようす。載せられているどの作品も場面設定される家のようすが詳細に語られている。

 そういえば、毎日新聞の日曜版に掲載されている彼女の小説「待ち遠しい」もまた、そんな気がしてくる。主人公が借りている住居のようす、その住居の周りのようすから始まったはずだ。そんなこと「どうでもいいやん」と思いながらも、それを読む読者がいるという不思議。柴崎自身がそんな読者だったからこそ、「どうでもいいやん」ということに世間が興味を持つということを知り尽くしてしるのかもしれない。だからこそ、小説の主要な舞台である住居のようすから物語るのかもしれない。

 表題作「春の庭」は2014年の第151回芥川賞受賞作。

 解説は、堀江敏幸。
 文体の中途転換、俯瞰の文芸の妙味については、堀江敏幸の解説が参考になる。

2017年4月10日 第1刷発行

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[ 2017/08/06 10:00 ] 国内の作家の本 柴崎友香 | TB(-) | CM(-)
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Author:きどのひつじ
散歩すると猫に会う。
いつもの場所にいつもの猫がいるのだが、人間とは付かず離れずの関係を保ちつつ生きているように思われる。

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